気づけば君が近くにいてくれた
この状況をどうしたらいいだろうか。
びっくりしてベッドから起き上がったまま動けないで考えていたけれど、やっぱり私は会いたくないという気持ちが強い。
「あの、昭子おばあちゃん申し訳ないんだけど……」
必死に考えて風邪気味だから会えないと適当な理由を付けて帰ってもらおうとした。
「どうしてもね、実桜ちゃんに話したいことがあるそうよ」
私の声に被さるようにそう言った昭子おばあちゃん。
私に話したいこと?
見ず知らずの人が私に何を話すことがあるの?
やっぱり帰ってもらおう。
「私、その人に会うのは」
「実桜ちゃんっ」
明らかに昭子おばあちゃんとは違う声がする。
とても若い女の子の声。
私の同じくらいの歳で……もしかしてだけど、聞いたことがあるような。
「小崎 香純です。入学式の日にお話した……」
通りで聞いたことがあると思った。
名前を聞いて思い出した。
入学式の日に声をかけてくれた、前の席の女の子だ。