気づけば君が近くにいてくれた
あの日の小崎さんに悪気がないことはわかってる。
ただ心配してくれただけ。
仲良くなろうと近づいてきてくれただけ。
そんなこと、頭の中ではわかっている。
それでも、やっぱり簡単には心を許すことはできなかった。
本当にごめん。
今日は帰ってほしい。
私に関わらないでほしい。
別に怒ってなんかいないから、気にしないでほしい。
私が人と関わることに不安と恐怖を感じているからいけないんだ。
「ごめんっ、本当にごめんなさい!」
そう伝えようとすると同時に、ドア越しに謝る声が聞こえた。
「なんで……」
なんで小崎さんが謝ってるの?
小崎さんのことを傷つけてしまったのは、きっと私の方だというのに。
「実桜ちゃんの気持ち考えずに傷つけるようなこと言っちゃったよね……本当にごめんね」
今にも泣きそうな震える声が聞こえる。
なんで小崎さんが泣いてるの?
どうして。