気づけば君が近くにいてくれた
「小崎さんは、悪くないよ……私が」
そう、私の心が弱いだけだ。
私がもっと強くて、普通に人と関われたなら。
「そんなことないよ!」
「わぁっ!?」
私は触っていないのに突然ドアが開いて、人が飛びついてきた。
それが小崎さんだとわかるのに、そんなに時間はかからなかった。
ふわっと鼻をかすめる、甘い香り。
小崎さんの匂いだ。
すごくいい匂い……女の子の香りだ。
「……っ!」
いい匂いと突然飛びつかれたことへの驚きで忘れていた。
咄嗟に左頬を手で押えて隠す。
たぶん、見られてないよね?
小崎さんにはすぐに抱きしめられたし、すぐに隠したし……大丈夫。
私の左頬は、見られていない。
「実桜ちゃんは悪くないよ!あのね、私、実桜ちゃんとお友達になりたくてきたの!あの日も、お友達になりたくて声をかけたの」
ぎゅーっと私に絡みつく腕が強くなる。
小崎さんが本心を口にしてくれていることは、この抱きしめる強さが物語っている。