気づけば君が近くにいてくれた
仲が良いのか悪いのか、わからない2人だ。
でも、とても優しくて楽しそう。
できることなら、この2人と仲良くなって友達になってみたかった。
今の私にはそんなことできないけれど。
「今日はありがとう。気をつけて帰ってね」
今は上手く笑えたかな。
昭子おばあちゃんと話す時のように。
こんな私のことを気にかけてくれたのは本当に嬉しいことだけれど、人と関わることに慣れていない私にはちょっと疲れてしまった。
今日は申し訳ないけれど、もう帰ってほしい。
私がそう切り出すと、2人はハッとしたように顔を見合せた。
「夕飯時なのにごめんね!?」
「ちょっと配慮が足りなかった……ごめん」
「いや、そんなっ……別に大丈夫だし」
本当にそれは大丈夫。
嘘なんかじゃない。
ちょっとだけ。
ほんのちょっとだけだけど、小崎さんと藤波くんが家まで来てくれたことは嬉しかったから。
「じゃあまた遊びに来るね!」
「じゃ、また」
2人は、私にとって嵐のようだった。
急に来て、私の心を乱して、急に去っていく。
でも、不思議と嫌な気分にはならなくて、2人が帰る頃には、不安や緊張や恐怖はどこかへ消えてなくなっていた。