気づけば君が近くにいてくれた
私だってできることなら、普通の生活をしたい。
その思いは今でも変わらない。
何にも縛られないで、自由な青春を送りたい。
テストが嫌だななんて文句を言いながら勉強をして、放課後はまっすぐ家になんて帰らずに寄り道をして遊んで、好きな人にドキドキして……
漫画や小説、ドラマにあるような楽しそうなキラキラした生活。
たまにSNSのタイムラインにも、全く知らない学生さんの楽しそうな写真が載せられているのも見た。
その度に羨ましいと思っていた。
そんなみんながしているような普通のことをしたかった。
私だってそんな日はあったんだよ。
あの火事が起きてしまって、周りが私の見る目を変えるまでは。
また幸せだったあの頃みたいに戻れるのなら、戻りたい。
《行けるようになりたい》
心の奥に眠っていた私の叫びを文字にして返信できたのは、しばらく時間が経ってからだった。
緊張で震える手で文字を打った。
アオイさんから返事が返ってくるまで、ずっとドキドキが止まらない。
私の精一杯の言葉に、アオイさんはなんて言うのか。
不安で不安で、仕方がなかった。