気づけば君が近くにいてくれた



緊張から解き放たれて、心が軽くなった私は、久しぶりに気晴らしにでも散歩がてらコンビニへ行こうと立ち上がった時だった。



「実桜ちゃん、お客さんだよ」



インターホンが鳴っていたことに気がつかなかった。


コンコンと部屋のドアをノックされて、昭子おばあちゃんの声で気がついた。



「お客さん……?」


「そうだよ。この前来てくれた女の子と男の子だよ」



え?


小崎さんと藤波くん?


本当に遊びに来てくれたの?


もう家には来ないと思っていたのに。


ちょっと待って……今の私、思いっきりルームウェアだよね?


これからやっと重い腰を上げて着替えようかと思っていたところだったから。



「昭子おばあちゃん!ちょっと待って!着替えるからっ」



今2人を通されると困る。


いくら引きこもりだとはいえ、ルームウェアで出迎えるなんて恥ずかしすぎる。


朝のうちに寝癖だけは直していたのが、唯一の救い。


久しく服なんて買ってもいないし、オシャレなものなんてないけれど、適当なTシャツとジーパンを履いて、マスクをつけた。



「もういいよ!」



鏡で自分の姿を確認して、昭子おばあちゃんに声をかけた。




< 46 / 195 >

この作品をシェア

pagetop