気づけば君が近くにいてくれた
部屋の外から、「どうぞ」という昭子おばあちゃんの声がする。
それに続いて「お邪魔します」と高くて可愛い声と低くて通る男の子の声が聞こえた。
階段上がってくる足音がする。
階段の段数は覚えていないけれど、感覚でどの辺まで来ているかは、音でわかる。
ついに2人はドアの目の前にやってきた。
コンコンとドアをノックされる。
「は、はい……」
「実桜ちゃんっ!遊びに来ちゃった」
まさか本当に遊びに来るなんて。
やっぱり信じられない。
「違うでしょ。実は僕たち勉強会を開きに来たんだから」
……え、勉強会?
ドアの向こうでそんなやり取りが聞こえる。
私の家で勉強会をするの?
一体なんのために。
頭の中が疑問で溢れかえっていると、ドアノブがゆっくりと回って、ドアが開いた。
「実桜ちゃーん!また会えてよかったっ!」
初めて家に来てくれた時のように、思いっきり私を抱きしめてくる小崎さん。
どんな反応をしていいのかも、なんて返したらいいのかもわからず、ただただ驚きながら立ち尽くす。
「ほら、片寄さんが困ってるでしょ?」
「へっ、あ、ごめんね、実桜ちゃん」
藤波くんに注意されてから、私は解放された。