気づけば君が近くにいてくれた
「えっと、その……」
私がどうしたらいいかわからないでいると、前回の時のように、小崎さんと藤波くんが顔を見合わせて微笑んだ。
「いつか片寄さんの体調が良くなって学校に行けるようになった時、授業についていけるように勉強会をしないかって僕が提案したんだ」
次に私の目を真っ直ぐに見て、そう言った。
私が疑問に思っていたことを読み取ってくれたのか、欲しかった答えをくれた。
私が学校に行けるようになった時。
きっと2人は、私が体調不良なんかじゃなくて、ただ不登校になっていることをわかっている。
小崎さんと藤波くんが例外ではなくて、クラスメイトみんながそう思ってるだろうけど。
「ほら、片寄さんのためでもあるんだけど、僕たちも宿題とかあるし、1人でやるよりみんなでやった方が楽しいでしょ?」
「そうそう!私、勉強苦手だから教えてもらおうと思って」
どうやら小崎さんの話を聞くと、藤波くんは学年トップで入試を合格したらしく、めちゃくちゃ頭が良いらしい。
そこら辺の家庭教師にお願いするよりも、藤波くんに教わった方がいいのかも。
この先、私が引きこもっていても社会に出られるようになったとしても、高卒の認定は欲しい。
その時はどちらにせよ、学校に行けないなら通信制の学校に切り替えなければ行けないと思っていたから……これはこれでいいのかもしれない。