気づけば君が近くにいてくれた
「小崎さんも順調そうじゃ……」
小崎さんはプリントの問題を解くのではなく、明日の授業のために教科書の英文をノートに和訳しているところだった。
最初は一文訳すのにも時間がかかってしまっていたけれど、今はかなり進んで、もうすぐ終わりそうだ。
「わかんないものばかりで、藤波くんにかなり助けてもらってるだけだよ」
自分の力じゃいつ終わるかわからない、と嘆いていた。
確かに何度も藤波くんに和訳を確認してもらっていたかも。
それでもちゃんと自分で調べ手頑張っていたし、十分すごいと思うんだけどな。
「あ、そういえば!」
突然、小崎さんが持っていたシャープペンシルを置いて、私に向かい合う。
「実桜ちゃんにね、お願いがあるの!」
ニコッと思わず可愛いと口に出してしまうそうな笑顔を見せる小崎さん。
私にお願いって……?
その笑顔を見れば悪いことではないとは思うけれど、何を言われるのか怖い。
私は、机の下で拳をギュッと握りしめた。