気づけば君が近くにいてくれた
今、私は引き取ってくれた父方の祖母と一緒に暮らしている。
あの事件の後、私は誰が引き取り育てていくのかという話し合いが親族の間で行われたらしく、自宅と同じ学区内にあった昭子おばあちゃんの家に行くことに決まった。
それから約5年間、ずっと昭子おばあちゃんは私の面倒を見てくれている。
ずっと祖父母とわたしの3人で暮らしていたのだけれど、つい2年前、昭子おばあちゃんとずっと仲良しだったおじいちゃんが亡くなった。
大切な人が突然目の前からいなくなる気持ちは、私にも痛いほどよくわかる。
私にとってはお父さんだけれど、昭子おばあちゃんにとっては自分よりも若くして息子を亡くして、おじいちゃんも亡くして、きっと辛いはずなのに私の心配をしてくれていた。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
もうシワでくしゃくしゃの顔を更に歪ませて私を見る昭子おばあちゃんに、そう言って笑って見せた。
昭子おばあちゃんが私のことをこんなにも心配するのには、理由がある。