二十年目の同窓会


美織を見送ってすぐ、後ろから「羽柴さん?」と声をかけられる。

振り返ると、将来の夢が同じで進路についてよく話していた村井くんが立っていた。


「久しぶり」

と微笑む彼は、スッと高い背にグレーのスーツがよく似合っている。

彼とは大学でも一緒で、それでと考えていると急に懐かしくなり。

「よかったら隣で飲も」と誘ったいた。


ビールを注いでくれようとしたので、コップを差し出すと。


「ビール飲めるようになったんだ」

と驚かれた。

「いつの話してるの」


「そりゃそうか」


村井くんは笑いながらメガネを上げる。


彼はそう、前は私がビールを飲めなかったことを知っている元彼だ。


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