二十年目の同窓会
「聞いた?神原、結婚したんだって」
またもその話かと苦笑いしてしまう。
「知ってる知ってる」
そう言いビールを一口、ゴクリと飲む。
なんでみんな私に報告するのかな。
「…俺さ、舞衣ちゃんが好きだったんだけど、舞衣ちゃんは神原と両思いだと思ってたから、高校のときは告白するのも諦めてたんだよね」
…それは初耳だった。
いつの間にか舞衣ちゃん呼びに戻っているのは、気にしないにしても。
聞き逃せないワードが飛び出した。
私がポカンとしていると、続けて話す。
「みんな思ってたと思うよ、ふたり付き合うんだろうなって。
舞衣ちゃん高校のとき、男子は何となく近寄りがたい空気出してたけど、神原と話してるときだけは柔らかい感じしたから」
ただ幼なじみで話しやすかったから、なのだけど。
周りからはそう見えていたのか。
…そして、そう見えていたのならそのころにはもう、私は稔が好きだったのか。