二十年目の同窓会
「とりあえず入ってから話そ」と一緒に宴会場まで足を進める。
その間は終始無言で、なんとも言えない空気。
ふたりで会場に顔を出すと、一瞬みんながザワッとした、…気がする。
前回同様、入ってすぐのところに本宮くんが座っていたので軽く挨拶し、会費を渡す。
「羽柴さん、神原久しぶり。
向こうの長谷川たちのところ空いてるから座って」
と席を案内された。
一番奥の入口近くで美織が浩平くんと手を振っている。
その目の前の席に稔と並んで座った。
「積もる話はあるけど、とりあえず乾杯あるみたいだから。
飲み物ビールでいい?」
美織はそう言いながらビール瓶を手にした。
稔は「お願いします」とグラスに注いでもらい、私はその隙に自分でウーロン茶をグラスに注ぐ。
「あれ、お酒飲まないの?」
不思議そうに首を傾げる美織に「ビール苦手だから、乾杯終わったら梅酒でも頼むわ」と返す。
そして、私たちが最後だったのか、注ぎ終わったタイミングで本宮くんが立ち上がった。
それを合図に全員がグラスを持ち上げる。
「二十年目の同窓会にこんなにたくさん集まってくれて嬉しいです。
今日は楽しもう、乾杯!」
「「乾杯!」」
ガチャンとグラスが大きな音を立てた。