二十年目の同窓会


「跳び箱では私のほうが飛べた」


「マラソンは俺のほうが早かった」


「勉強は私のほうができたし」


「ゲームは負けたことない」



言い合いしているうちに、なんだか面白くなってきて。

あはは、と思わず大きな笑い声が出る。
すごく久しぶりな気がする。
お腹を抱えるほど笑うの。

…でもそうだった、こうやって子供の頃は喧嘩腰に話すことも多かった。


つられて稔も大口を開けて笑いながら、突然髪に触れてきた。


「髪、ずっと短くしてんの」


「まさか。
三十歳くらいからかな、ショートに戻ったの。
十年前の同窓会なんて髪クルクルさせてアップにして、可愛くしてたんだから」


というと、稔は「ふーん」と言いながら日本酒を飲む。

「…稔来なかったもんね、新婚で」


ゴクッと梅酒を飲むと、喉が焼けるようで。
飲みすぎた、水割りにすればよかったと思ったところで、隣の稔は少し悲しそうな顔で目を丸くしていた。



そこで初めて、自分が泣いていることに気がついた。

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