二十年目の同窓会
目を開けると、ものすごい近くに稔の顔がある。
「ちょ、ちょっと!」
両手で顔を覆いながら、また俯くと。
「そのまま聞いて」と頭に手を置かれた。
「…俺も。
俺もずっと好きだった、たぶん舞衣より前から。
そして、また好きになるよ。」
「え」と顔を上げると優しく、優しく抱きしめられた。
微かに煙草の香りがする。
「二十年も会ってないのに後ろ姿だけで舞衣だってわかったときから、友達には戻れないかもって、思ってた。
バツイチだけどいい?」
「…いいよ。
でも、一緒に長生きしたいから煙草はやめてね」
私の言葉に「はは、バレた」と笑いながら言う。
顔、見たいなと思い、胸から顔を離すと名残惜しそうな顔をされた。
「…タクシー拾うから」
その意味に、小さく頷いた。