二十年目の同窓会
「本宮、舞衣ちゃん来たら後ろ向いて存在消すから教えて」
はあ?と言いながらも、頷いてくれる。
「あと、もし舞衣ちゃんと神原が一緒に来たら、ふたりが隣になるように案内しろよ」
神原はずいぶん前に離婚したって聞いた。
今ならふたりを邪魔する奴はいないはずだ。
「…村井もさ、大概不毛な恋してるよな」
本宮が呆れたように言う。
「自分でもわかってる。
でも頑張ったけどたぶん俺じゃダメだから。
舞衣ちゃんには幸せになってほしいんだ」
ああ、始まる前に言ってて泣きそう。
しかも…ほとんどの奴らが聞き耳立てて、憐れんだ目で見てきやがる。
「大丈夫、今日を最後に舞衣ちゃんのことを考えるのはやめるから。
俺、まあまあイケメンだし!すぐに相手ぐらい見つかるよ」
と言うと本宮は無言でポンポンと背中を叩き、のど飴を差し出した。
「俺、風邪引いてないんだけど!?」
「その調子で元気出せ」
本宮の優しさがほんのちょっぴり身に染みた。
…舞衣ちゃん、俺にできるのはふたりの席を用意するところまでだから。
あとは自分で幸せ、掴んで。
「なにこれ、のど飴スースーしすぎじゃない!?」
「それスースー五倍のやつ」
「おい!!」