二十年目の同窓会


「…え!そうなんだ、おめでとう!」


本当に心から、そう言えればよかったのに。

心から言うはずだったのに。


私は笑顔でそう返したけども、心は裏腹に。

ズキズキ痛んで泣きそうでどうしようもなかった。


最悪だ、最悪のタイミングだ。

きっと今までも、考えてみれば気づくことはできたはずだ。
一緒にいてこんなにも楽しいのはなぜなのかと。


なのに、どうして今。
稔のことが好きだなんて気づくんだ。



「…どうも」


恥ずかしそうに伏し目がちに。

そう言う彼は、なんだか知らない人に思えてしまった。


そうして私は、高校三年の5月。
告白すらできずに、初めての失恋を味わった。



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