二十年目の同窓会


「好きです。付き合ってほしいな」

当時私は、可愛さには自信があった。
上目遣いでそう言えば頷いてくれるだろうと告白したけど。
思惑は外れた。


「好きな人いるから無理」

ピシャッと断られ、背を向けた彼。
でも私はこっちを振り向く言葉を知っている。


「好きな人って、羽柴さんだよね?」

バッと思い切り振り返る。



「彼女ができたって、彼女に伝えて。
おめでとうって返されたら、脈なしだから私と付き合って」

それならいいでしょ、と詰め寄ると。
「わかった」と困り顔で頷いた。


私は羽柴さんに勝ちたかったのだ、進学クラスじゃないのに、私より勉強ができる彼女に。
彼女の得意分野で負けるなら、私は私の得意分野で勝ってやる。





「…付き合おう」

次の日、少し諦めたような表情の彼に。
あえて満面の笑みを返した。

そう、彼女は絶対「おめでとう」と返すと思ってた。


稔くんの幸せを願うだろうと。


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