二十年目の同窓会


ふたりとも、きっとお互いが好きじゃない状態で付き合ったけど。

大学生になったころには私は稔くんのことをちゃんと好きになっていた。

稔くんも私を大切にしてくれていた。


旅行に行きたいと言えば、連れてってくれ。

アクセサリーも誕生日は必ずくれる。

ボウリングで私が負けて悔しがれば勝たせてくれた。


いつも「いいよ」と優しく微笑んで。

二十八歳の誕生日、「結婚して」と逆プロポーズをすると笑顔で受けてくれた。

幸せだった。



でも、それからすぐに届いた同窓会のお知らせを見て、気づいてしまった。


稔くんとは喧嘩なんてしなかったし、ずっと穏やかだったけど。

高校のときの稔くんと羽柴さんの関係とは違っていて。

未だにそんなことを考える自分が。


私は、大嫌いだ。



今日は私の二十九歳の誕生日。
彼は綺麗な花とアクセサリーを買ってくる。

去年届いた同窓会のお知らせと離婚届を机に置くと同時に、「ただいま」と笑顔で稔くんがドアを開けた。


「おかえりなさい。

…私と別れてください」


きっと今日は喧嘩になるけど最後くらいいいだろう。

今度こそ、自分を大好きになって。
自分を好きになってくれる人を、大好きになりたい。


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