二十年目の同窓会
俺が三十歳になるころには、離婚したことが会社の中にもかなり広まり少々厄介な事態となっていた。
「なあ、そろそろ合コン行こうぜ!」
はあ、とため息を吐きながら首を振る。
「お前も誘えって言われてんだよ」と肩を叩きながら言うのは、会社の同期の松崎だ。
そう、離婚してからこの類いの誘いが一気に増えた。
バツイチだけど高身長、顔は普通だけど高収入となると同じ年くらいの女性受けが良いらしく、最近は毎週末のように松崎から声をかけられる。
あまりにしつこいので、「じゃあ一回だけな」としぶしぶ頷いた。
週末合コンに松崎とふたりで向かうと、少し先の店の前で立っていたひとりの女性が気になった。
小柄な背丈に焦げ茶色のショートカット、舞衣に似ている。
でも、舞衣ではない。
「恵美ちゃん、おつかれ」松崎にそう呼ばれ振り返った彼女はやっぱり全くの別人で。
きっと彼女のことなら今でも間違えないだろうなと根拠もなく思う。
亜梨紗と一緒の間は本当に舞衣のことは考えていなかったのにな。
離婚してひとりになった途端にこれだ。
その日を最後に、合コンに行くのはやめた。