二十年目の同窓会
隣で眠る彼女の頬を撫で、優しく起こさないようキスをする。
初めて見た化粧をした顔は綺麗になったな思ったけど、今隣にいる化粧をとったその顔は、高校時代を思い出すかわいらしい顔だ。
…同期の松崎に合コンを断るため忘れられない人がいることを告白したとき、「絶対美化してるから再会することがあっても期待するな」と言われていたが。
美化なんてしてなかったぞ、とニヤリと笑う。
そして、そっとベッドから出て、キッチンに移動した。
今日は休みだし、時間はあるからコーヒーでも入れるか。
お湯を沸かし、コポコポとゆっくり入れると良い香りがする。
「…おはよ、早いね」
舞衣が、俺のスウェットを着て起きてきた。
裾と袖を折って着ているのが…良いし。
むしろもう一度脱がしたいし、なんて年甲斐もなく思う。
でも、離婚してから約十年。
彼女も作らずに想い続けていた彼女と付き合えたんだ、このくらい思うのはいいだろう。
そんなことを考えながら舞衣にはシンプルな白のマグカップにココアを入れる。
「はい」と手渡すと、ふわっと嬉しそうに笑う。
「ココア好きなの覚えてくれてたんだね」
覚えているよ、過ごした時間は全部。
彼女の笑顔に俺もつられて笑みがこぼれた。