表面上はクールな執事(ヤンデレ)が私を溺愛中
「この方が倒れた原因ですが……
 恐らく、原因不明の脳への強い刺激のせいでしょう」

(悟リ家執事に何があったんだ……)




 ……執事。もう私、何も言わないよ。

 お医者さん、驚きすぎて絶句してるし。






「取り敢えず、入院して様子を見ましょう」

(治るか……? これ)





 執事、どれだけ衝撃受けてるの。

 手遅れになりかけてるわよ。






 ……でも、心配だわ。

「少し、執事に会わせて下さい」





「……はい」

(残念だが、もう……)







◆◆◆◆◆



「執事、お見舞いに来たわよ」


(……!?

 こ、これは……!

 こころの香り……ッ!)




 エッ、私の香りなんてよく覚えてるわね……?



(あぁ、起き上がらなきゃ。

 けど、今の記憶が朦朧としている中じゃ……)





 ガッツリ働いてるわよ、貴方の記憶。






(クッ、俺にはまだこころパワーが足りない)





 何その戦隊ヒーローみたいなパワー。





(こころ、どうか俺にッ! 力を!)






 あー、もう! しょうがないわね!




「頑張れ、執事」














 スッ……。

 執事は、音を立てず、ベットの上で直角座りになって、言った。







「おはようございます、お嬢様」






 ……もう、突っ込まないわ。執事。







「お嬢様が、応援してくださっている気がして……」



「えぇ。まぁ、そうね」



「心配かけてしまいませんでした?」

(だとしたら、こころに申し訳ない……)






「……したわよ、心配」





「え?」



「するに決まってるじゃない、バカ執事」






「……!」








「次倒れたら、許さないわよ」




「はい、お嬢様の御心のままに」

(ああああああ、倒れそう。

 でも、ダメだ。こころが許してくれない。


 ……よし、耐えた)





「ところで、お嬢様」



「? なにかしら?」






「お医者さんが白目剥いて失神してませんか?」







 ……お医者さあああああああん!!!







 後日、お医者さんの無事は確認された。

 めでたしめでたし……。







(こころ、可愛い。

 本当に可愛い。

 俺のこころ、超可愛い)



 こっちはもうどう足掻いても無事ではないけれども。

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