あやかし戦記　愛ゆえの選択
そうギルベルトが真面目な顔で言うと、アレス騎士団の団員全員が真剣な顔になる。賑やかで楽しい祭りを楽しんではいられない。

ギルベルトが先頭に立ち、イヅナたちは祭り会場を離れた。



ギルベルトに連れて来られたのは、隠れ家のような雰囲気を持ったおしゃれなイタリアンのお店だった。

イタリアンだなんてドレスコードが必要なのでは、とイヅナとヴィンセントが不安げな顔を見合わせると、チェルシーにクスリと笑われる。

「そんな顔しないで。ここはドレスコードは必要ないお店なのよ」

「ここの料理はどれもおいしいよ。せっかくだし、コース料理にしようか」

ギルベルトがドアを開けると、おしゃれな制服を着こなした店員がやって来て、「いらっしゃいませ」と頭を下げる。

お昼時だが、今日は祭りが開催されているため、デイジーの花が飾られた可愛らしい店内にいるお客さんは少ない。そのためすぐに席に案内され、事前に予約をしていないのだが、コース料理を注文することができた。
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