あやかし戦記 愛ゆえの選択
初めて見る回転テーブルにイヅナはわくわくする気持ちを覚え、マオ国の料理を楽しんだ。料理はコッテリとした肉料理から新鮮な海の幸、そして高級食材まで様々な料理が出され、デザートにはサンザシのべっこう飴を食べた。

夕食を食べ終えた後、少し休んだ後にイヅナたちは温泉に入った。温泉はイヅナの国にはないもののため、多くの人と裸になって入るのに多少の抵抗感があったものの、お湯に浸かると身体中が癒されていく不思議な感覚がし、裸のことをどうでもいいと思えてしまった。

「気持ちいい……」

このままずっと入っていたが、この旅館にはただの旅行で来たわけではないのだ。頭や体を洗い、温泉にもう一度浸かって大浴場を出る。

「ふう、気持ちよかったわ」

旅館で借りれるこの国の民族衣装を着て、イヅナは廊下を歩く。着ているのは昼間、ユエが着ていたお姫様のような衣装である。

部屋に戻ったら、早速妖を探しに行くのだろう。イヅナがそんなことをぼんやりと考えていると、前からチターゼが歩いてきた。出会うのは昼間別れた時以来だ。
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