あやかし戦記 愛ゆえの選択

「四凶たちが「また人を喰わせろ」って騒いでるから、誰を喰っていいか教えて」

男性の冷たい言葉にハオランは体を震わせる。自分がしていること、それは決して許されない大罪である。今日が初めてではないのに、いつも死んでしまいたいと思うほど怯えてしまうのだ。

「ほらぁ、早く！大体四体で一人の人間を分け合うから、すぐに腹が減ってお前が差し出さないといけなくなるんだよ？これが嫌だったら、最初から旅館にいる全員を殺させてくれたらいいのに。そうすれば、人を喰うのも一ヶ月に一回か二回で済むんだよ」

「そ、そんなこと、できるわけが……」

震えるハオランの肩を男性が強く掴む。ハオランの恐怖で染まった目と、男性の狂気的な目が交わった。

「娘の病気を治せるなら何でもする、そう言ったのはお前だよね？何回も人を差し出して、そのたびに金を俺が金を払ってるじゃん。お互い利益を得てるんだから、別にいいだろ？」

男性はハオランを離し、旅館に泊まっている客のリストを見る。そして一人旅をしている人間をチェックしていくと、ある名前に目が止まった。