あやかし戦記 愛ゆえの選択
一週間ほど前、レオナードはギルベルト・エーデルシュタインに呼び出され、上司であるツヤ・シノノメと共に東にある大国に任務へと旅立ったのだ。
「美人な上司と二人きりで任務とか、テンション上がるぜ!」
そうデレデレと笑いながらレオナードは言い、イヅナとヴィンセントは呆れていたのだが、いつも一緒にいるメンバーがいないというのはやはり寂しい。ちなみに、浮かれていたレオナードはツヤに殴られていた。
「……無事に帰ってきてくれるといいんだけど」
イヅナの頭に浮かんだのは、ヴィンセントのことだった。ヴィンセントが任務で隣国へ行こうとした際、呪術師に襲われて捕らえられてしまったと知ったあの時の恐怖は、今もイヅナの中に残っている。
その時、イヅナの手が大きなヴィンセントの手に包まれる。顔を上げれば、ヴィンセントは優しく言った。
「レオナードのことが心配なのは一緒だよ。でも、今日くらいは任務とか騎士団のこととか、一旦忘れて楽しもう?ほら、笑って」
いつの間にか、イヅナの顔からは笑顔がなくなっていたらしい。華やかな祭りには悲しい顔は似合わない。イヅナが口角を上げると、「そう。イヅナには笑った顔が似合うよ」と言われ、屋台を見るため再び歩き出す。
「美人な上司と二人きりで任務とか、テンション上がるぜ!」
そうデレデレと笑いながらレオナードは言い、イヅナとヴィンセントは呆れていたのだが、いつも一緒にいるメンバーがいないというのはやはり寂しい。ちなみに、浮かれていたレオナードはツヤに殴られていた。
「……無事に帰ってきてくれるといいんだけど」
イヅナの頭に浮かんだのは、ヴィンセントのことだった。ヴィンセントが任務で隣国へ行こうとした際、呪術師に襲われて捕らえられてしまったと知ったあの時の恐怖は、今もイヅナの中に残っている。
その時、イヅナの手が大きなヴィンセントの手に包まれる。顔を上げれば、ヴィンセントは優しく言った。
「レオナードのことが心配なのは一緒だよ。でも、今日くらいは任務とか騎士団のこととか、一旦忘れて楽しもう?ほら、笑って」
いつの間にか、イヅナの顔からは笑顔がなくなっていたらしい。華やかな祭りには悲しい顔は似合わない。イヅナが口角を上げると、「そう。イヅナには笑った顔が似合うよ」と言われ、屋台を見るため再び歩き出す。