あやかし戦記 愛ゆえの選択
そして夜、チターゼは部屋で夕食を取ろうとしたのだが、エイモンに強引にレストランへ連れて行かれて一緒に食事を取り、そのまま何故か外へと連れ出される。
「エイモンさん、部屋に戻って休みたいのですが……」
不満を口にするも、エイモンが「まあ、少し付き合ってよ。空でも眺めてさ」と笑う。エイモンの言う通り空を見てみると、まるで宝石箱いっぱいに入った宝石を見ているような気分になった。
(綺麗……)
こんなにも美しい夜空を見上げるのは久々だ。夜空を何も言わずに眺めていると、流れ星がキラリと光った。
「あっ、流れ星!願い事唱えられなかった……」
一瞬で消えていく星に願いなど、不可能に決まっている。冷めた気持ちになりつつ、チターゼは口を開く。
「どうして星を見なくてはいけないんですか?あたしより、他の同期の方が社交性があって愛想もいいですよ」
大嫌いなイヅナたち、そして幼なじみのアレンの顔が浮かぶ。彼女たちといた方がエイモンにとっては楽しいはずだ。
「チターゼちゃんといる時間がほしかったからだよ」