合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
魔物料理(十)
「ソフィアちゃん、大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です。これ、味が薄くて何か調味料はないですかね?」
「そうね、塩とコショウではないものなら、ここにあるけど。みんながお土産に他の地域から買ってきたものばかりで、使ったことはほとんどないものばかりだけど」
アンジーさんが指さした棚には、瓶に入った色とりどりの香辛料が置かれている。
どれが何かも見ても分からないので、一つ一つ開けてはまず匂いを確認することにした。
その中の黒い液体を開けると、やや魚の匂いのするものがある。
一滴、手のひらに垂らして味見。
「ん、魚っぽい醤油……」
「しょうゆ?」
「そういう調味料です。すこしくせがあるけど、つみれ汁に入れるなら大丈夫でしょ」
そのままスプーン一杯分入れて、かき混ぜる。
「お嬢様、あの人たち食べるスピードがおかしいんですけど。先ほどの焼いたお肉なんて、取り分けたら一瞬ですよ。お酒も飲みだしていますし」
向こうに行かなくても状況が目に浮かぶ。きっと宴会のようになっているんだろうな。
「残りのコカトリスも焼けたから、これとつみれ汁を合わせて持って行きましょう」
「そうね、とりあえず届けましょう」
一旦全ての火を止めると、出来上がった物を両手に持ち配膳を始めた。