合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
醜い心(二)
「この歳になって、人形というのもね……。んー、何がいいかしら」
お菓子が無難なところだが、それだと少し安っぽくはないだろうか。
「あの、お嬢様……」
その場で、うんうんと考え込む私にルカが声をかけてきた。
「んー? どうしたの、ルカ」
「あの馬車って、うちの……侯爵家の物じゃないですか?」
ギルドの斜め向かいの店の前をルカが指さす。
そこには確かにうちの家紋が入った馬車が停められていた。
私たちはまだ買い物があるからと、帰りの馬車は呼んではいない。
そう考えると、あの馬車を使っているのはおそらくミアだろう。
「ああそうね、珍しい。こんなところで、何か買い物かしら?」
向かいの店の看板には装飾品店と書かれている。
ミアがいつも好む、高級品店ではない。
それなのにこんなところで買い物をするなんて。
と、ふとそんな疑問が頭をもたげる。
私がここにいるのを知っていて、わざと当てつけをしているかのように思えた。