合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

幼馴染

 しばらくして、ルカがグレンを連れて入室してきた。

 やや深い緑がかった短い髪に、すらっとした背。

 仕事から抜け出してきたと思われる白とグレーを基調にした服に、眼鏡をかけている。

 しかしその手にはあまり似つかわしくない、2つの花束があった。

「2人とも、無事で本当によかったよ」

「グレン様ー。ミアのことも、心配してくださったのですかー?」

 グレンの顔を見るなり、すぐにミアがすり寄っていく。

 そして小首を傾げながら、目をウルウルさせている姿は、もはや流石としか言いようがない。

「もちろんだよ」

「わざわざ、お見舞いのお花まで持ってきて下さるなんて、ミアすごくうれしいですぅ」

「侯爵家の馬車の車輪が壊れて転倒し、中の令嬢が屋敷に運ばれたと聞いてね。居ても立っても居られなくなって、押しかけてしまったんだよ。でも、2人とも無事で本当に何よりだ」

「グレン様って、本当にお優しいんですねー」

「ソフィアも、大丈夫かい? 大事なものを亡くしてしまったかと思って抜け出してきたんだ」

 ふと私は思った。グレンにとって大事なモノとは、一体何なのだろうかと……。

 元々、私とグレンは幼馴染で、同じ王立の学園にも通っていた。

 それでも私たちの関係はあくまで幼馴染止まりであり、よく言っても男友達レベルでしかないはず。
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