合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
合わせ鏡の呪縛(前)(五)
自分からこの部屋に入るのはいつぶりぐらいだろうか。
小さい頃は、どこにでもいる普通の姉妹として二人で遊べていた気がする。
ミアが瑞希としての記憶を取り戻したのは、たぶんあの子が10歳になる少し前くらいだろうか。
あの頃はよく何かに取り憑かれたように泣き叫ぶことが多く、いろんなお医者様に父たちが診せていた気がする。
そしてどこにいても私にべったりとくっついて、いつも気付くとベッドにもぐりこんで来ていた。
縋りつかれてかわいいと思う反面、父と母を独り占めにしているようなミアが私はやはり嫌いだった。
そんなことでも、きっと過去を引きずっていたのだと思う。
「ミア、入ってもいいかしら」
「どうぞ、お姉さま。お入りになって」
ペンダントを一度ぎゅっと握りしめ、深呼吸をしてから私はドアを開けた。