合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
合わせ鏡の呪縛(前)(十)
私はそのまま、ぐっとお茶を流し込む。
「?」
匂いは確かにいつもの紅茶だった。
ただ一気に流し込んだお茶は、明らかに味がおかしい。
すぐに口の中や喉、その全てが焼け付くような痛みが走る。
「ゲホっ」
思わず吐いた物に血が混じる。まさか、毒が入っていたなんて。
「なにこれ、なんでこんなことに、嘘でしょ」
ひどい吐き気とむせ込みから、しゃべることが出来ない私をミアが真っ青な顔で見ていた。
「わたし、こんな、うそだ……。ただ姉さまに嫌がらせがしたかっただけなのに」
ガタガタと震え、訳の分からないことをミアが繰り返す。
私は倒れこみながらも、テーブルの上のティーカップたちをを叩き落とした。
「だ、誰かー! お姉さま、しっかりして下さい。誰か、誰かきて! 医者を呼んでー」
ティーカップの割れる音で我に返ったようなミアが倒れこむ私を抱きかかえ、大声で叫んだ。
遠くから、バタバタと走る足音が聞こえてくる。
「なんでこんなことに、姉さま、しっかりしてください。わたし、わたしは……」