合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
27章
合わせ鏡の呪縛(後)(一)
私たちの足音だけがこの空間に、響き渡る。
平民や犯罪を犯した者よりかははるかにマシだと言われた地下牢は牢屋を初めて見る私からすれば、何がマシなのか分からないほどだ。
ジメジメとした空気に、やや湿気臭いにおいが、重い空気と共に体に纏わりついてくる。
「ミア」
一番奥の牢に、ミアは入れられていた。
髪は乱れ、床に座り込むミアのドレスは薄汚れていた。
その顔に精気はない。しかし私を見つけると、ミアは勢いよく立上がり鉄格子に手をかけた。
「姉さま、もう起き上がっても大丈夫なのですか」
「ええ。まだフラフラするから、歩くことは出来ないけど」
「ああ、良かった……」
今にも泣きそうに、安堵した表情。そしてかけられたその言葉は、やはり私には本心のように思える。
「良かったと思うのならば、なぜソフィアを殺そうとしたんだ」
「殿下、違います。わたしは姉を殺そうなどとしてはいません。グレン様もどうか信じて下さい」
「毒を盛って、ソフィアの乗った馬車の車輪に傷を付けさせ、転倒させた。これが殺人未遂でなく、何だと言うのだ」