合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
合わせ鏡の呪縛(後)(二)
キースは肩を震わせ激高している。
「姉さま、わたしは姉さまが羨ましかったの。羨ましくて、妬ましくて、分かって欲しくて。姉さまにこっちを見てもらいたかっただけなの。馬車は少し車輪に亀裂を入れるだけなら、転倒まではしないって御者に言われたの。ティーポットに入れた毒だって、侍女から不味い味がするだけだからって」
首を横に振り、必死にミアが訴える。
その姿はまるで言い訳をする子どものようだ。
「わたしは姉さまに分かってもらいたかっただけ。姉さまにこっちを見て欲しかっただけなの。殺そうなんてそんな恐ろしいこと。姉さん、姉さまなら分かるでしょう?」
「例えそうだとしても、やったことには変わりないだろう」
「みんなわたしに同情的だったんです。姉に相手にされないわたしに、この世界で孤独なわたしに」
「ミア、そこに付け込まれたのでしょ?」
そう、侍女たちはミアの弱さに付け込んだのだろう。
記憶を戻し、ただ孤独だったこの子に付け込むことで自分たちも利益を得ようとした。
しかし解雇され、それが叶わなくなると腹いせとしてミアに毒を渡し、罪を擦り付けようとしたのだ。