合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
合わせ鏡の呪縛(後)(四)
前世の記憶なんて、過去のことなんて全部無視してしまえばよかったのに。
引きずって、拗れて、こんな結果を迎えなければいけないのなら、過去の記憶に何の意味があるというのだろう。
「そうやっていつも自信たっぷりで、わたしのことを見下す瑞葉が大嫌いだったわ。わたしは瑞葉よりどれだけでも努力してあの位置にいたのに、努力なんて知りませんという澄ました顔をして、いつもいつもわたしの先に行こうとする」
ミアの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。
「私はいつも誰からも愛されて、みんなの中心にいる瑞希が大嫌いだった。私にはないものをたくさん持っていて、いつでもそれを私にひけらかしていたわよね」
「わたしはそうすることで、ずっと自分の弱い心を守ってきたの。わたしがどれだけ努力しても、どんなに見下しても、素知らぬ顔で、わたしの前をいく瑞葉から。何にも努力なんてしていないくせに、どうして瑞葉はそのままでいいと言われて、どうしてわたしだけが努力をし続けなければいけなかったのよ」
ミアのその言葉は、叫びにも似ていた。
いつかキースが、ミアは本当は私のことが羨ましいのではないかと言っていたっけ。
私たちはお互いがお互いに持ってないものを羨ましがって、こんな風に拗れてしまったのだろう。