合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
作り物の笑顔(五)
「そーそー。それに秋の合唱コンクールも伴奏するんでしょ。忙しいだろうから、いいよ」
どこが本心なのだろうと、みんなの顔を眺める。
みんなにこやかに笑っていて、その中心にいるのに、その距離はどこか遠い。
「うん、そうだね」
わたしが望む答えを返すと、みんな満足げだ。
「瑞葉ちゃん、教えるの上手いから隣のクラスの子が順位一桁になったらしいし」
「それ、すごいねー。てことは、瑞葉ちゃんも一桁ってことでしょ」
瑞葉は確か、学年順位はだいたいいつも2位だった気がする。
それに比べてわたしはいつも二桁だ。
全学年で五百人ほどいるので、決して順位は低いわけではない。
だけど、このままではみんなが瑞葉に取られてしまう。
「ねぇ、じゃあ今度みんなでうち来ない?」
「え、いいの、瑞希」
「大丈夫、大丈夫。みんなで勉強しようよ。もちろん、瑞葉も捕まえておくし。ほら、瑞葉引っ込み思案なとこあるから一対一とかだと嫌がるかもしれないけど、わたしからみんなにって言っておくからさ」
「さっすが、瑞希ー。じゃ、そーしよー」
「それならうちも行くー」
「じゃ、また帰ったら連絡するねー」
「うん、よろしくー」