合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
それぞれの道、そして(四)
元々この世界で働きたいと思っていた私と、何かやりがいを見つけたかったミア。
婚約式に顔を出して少し話しているうちに、ミアは前からルカが持っていた財布もどきが私の案だということを知った。
すると、何か作りたいと言い出したのだ。
自分の好きな打ち込めることを見つけられることはいいことだ。
だから私が欲しい物や作れそうな物の案を出し、ミアが領地での空き時間で作成するということを行っていた。
だんだん物が増えていき、使用人たちにも高評価を得たものを王都で小さなお店を出し売り出したのだ。
まだまだ小さいお店だが、物によってはすぐに売り切れるほどの人気だ。
「ソフィア、君は次期王妃なのに……今更稼いでどうするんだい」
「次期王妃に、無償で書類仕事をさせているのはどこの誰かしら。私も自分で稼いだお金が欲しいんです」
その問いかけに、二人はバツが悪そうに黙り込む。
王妃となれば国からという形で手当てがもらえるらしいのだが、所詮それは国民の税金にすぎない。
それには極力手を付けたくないし、やはり何もしないでお金を貰うというのはしっくりこないのだ。
ミアもグレンへの贈り物などは自分で稼いだお金で買いたいと、私たちの目的は同じ。
それにやや反則かもしれないが、前の世界の物を取り入れることでこの国が豊かになればいいという思いもある。
私たちが転生者だという事実は、結局キースとグレンにしか告げなかった。
冒険者ギルドと商会にはいろいろお世話になっているものの、やはりそこまで込み入った話までするのは少し違うと思ったから。