合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
それぞれの道、そして(五)
「ねぇ、そういえば二人とも私たちが転生者だって言った時、あまり驚かなかったけど、この世界ではもしかして一般的だったりするの?」
「一般的だったら、学園にいた時に習うと思いますが?」
グレンの指摘はもっともだ。
学園に三年間在籍したものの、そんな話は歴史の授業などでも一度も聞いたことはない。
だとすると、二人が驚いてなかったような気がするのは気のせいだったのだろうか。
「ソフィア、転生者が例え一般的ではなくても、王国一と言われる頭脳が目の前にいるだろう」
キースがやや呆れたようにグレンを親指で指さす。
グレンは澄ました表情で、何を今更と言わんばかりだ。
「知っていて私とミアに近づいたの?」
「初めから知っていたわけではないですよ。何せ、一番最初に出会った時はまだ五歳くらいでしたからね。まず家族同士の付き合いがあり、ミアが記憶を取り戻った頃、よく不可解な言動をしていたんです。そこから彼女に惹かれたのですよ。僕の持っていない知識、そして何よりソフィアを追うあの瞳」
確かにミアが記憶を戻したのは、それくらいだと言っていた。
しかしその頃からミアに興味を持っていたなんて夢にも思わなかった。
「転生者という言葉は、王立図書館の禁書の一部に記載がありました。他の世界より来る者で、この世界に良くも悪くも影響をもたらす者だと。その言葉を見つけたとき、まさにミアはそうだと確信したんです」
「さすがというか、なんというか……」
グレンの探求心には脱帽する。