合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
あの夏の日(二)
「ねー、ちょっと無視しなでよぅ」
やや上ずって、甘えたような声。
他人から言わせると、この声ですらも、私たちはすごく似ているのだという。
ただ、しゃべり方や抑揚が全く違うだけで。
「別に無視しているわけじゃないけど」
「でもなんか冷たいし。なんか、怒ってるのー?」
「怒ってはないわ。ただ、姉さんと呼ぶのをやめてって、言っているよね」
「なぁんだ、そーんなこと。まだそんなこと言っているのぉ? 戸籍上は瑞葉が長女なのだから別にいいじゃない」
「そういう問題じゃないでしょ」
「えー。何それ、じゃ、どーいう問題なのょ」
小馬鹿にしたように、妹の瑞希は鼻で笑った。
睨みつけるように後ろを振り返ると、そこには私となんら変わりない顔がある。
姉、妹と言っても、私たちは双子なのだ。一卵性双生児。顔も声も、背の高さもほとんど同じ。
陰キャな姉に、陽キャな妹。
もう何度も、そんな言葉をかけられてきていた。
やや上ずって、甘えたような声。
他人から言わせると、この声ですらも、私たちはすごく似ているのだという。
ただ、しゃべり方や抑揚が全く違うだけで。
「別に無視しているわけじゃないけど」
「でもなんか冷たいし。なんか、怒ってるのー?」
「怒ってはないわ。ただ、姉さんと呼ぶのをやめてって、言っているよね」
「なぁんだ、そーんなこと。まだそんなこと言っているのぉ? 戸籍上は瑞葉が長女なのだから別にいいじゃない」
「そういう問題じゃないでしょ」
「えー。何それ、じゃ、どーいう問題なのょ」
小馬鹿にしたように、妹の瑞希は鼻で笑った。
睨みつけるように後ろを振り返ると、そこには私となんら変わりない顔がある。
姉、妹と言っても、私たちは双子なのだ。一卵性双生児。顔も声も、背の高さもほとんど同じ。
陰キャな姉に、陽キャな妹。
もう何度も、そんな言葉をかけられてきていた。