合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
出会い(三)
顔を上げれば、先ほどいた男性は席を立ったのか、女性が三人でこちらをちらちら見ながら会話している。
「やだぁ、お金の計算しているのかしら」
「ここの持ち合わせ、足りないんじゃない? あなた、貸してあげたら」
「こんな店でも足りないような貧乏な人、いるのー?」
「クスクスクス」
「恰好からして、田舎から出てきた貴族じゃないの」
「貴族じゃなくて、どっかの商人の娘でしょ」
「商人の娘も、この2階へ通されるわけ?」
「店なんて、お金を持ってればみんな同じなのよ」
「やだぁ」
よほど暇なのか、明らかにこちらに聞こえる声で会話を楽しんでいるようだ。
母は相手にしないと、気にも留めていないが、ルカは顔を真っ赤にして怒っている。
ん-。しかしその内容はほんとに……、馬鹿にするにもほどがあるだろう。
二階に通された時点で、私たちも貴族だと思わない辺りが、まずだめだろう。
いくら私たちがお忍びのため、簡素なワンピースしか着てないとはいってもだ。
「ソフィアお嬢様、わたし文句言ってきます」
「辞めておきなさい。馬鹿がうつるわよ」
「あ、それもそうですね。さすがお嬢様です」
「ちょっと、なんなのよ感じ悪い!」
感じ悪い人が感じ悪いと言っているし……。