合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
8章
主役(一)
王家主催の夜会は、年に4回ほどある。
私は基本的に顔だけ出して、すぐ帰るというのを繰り返していたので、まともに参加するのは今回が初めてと言ってもいいところだろう。
貴族主催のお茶会などは頻繁にあるのだが、もっともこちらの方はほぼ不参加だ。
グレンの話がなければ、今日の夜会も敬遠していたところだろう。
今日はグレンが公爵家の馬車で迎えに来ると言っていたが、ミアと3人で馬車に乗るのはさすがに気まずい。
だから私は母と侯爵家の馬車で行き、入り口で待ち合わせすることになった。
父は仕事が終わらないらしく、今夜も不参加だ。父の不参加はいつも通りなので、大した問題ではない。
問題は、私の着るドレスだ。
この前の買い物の時に、母の勧めでドレスを数着作ったものの、基本はオーダーメイドなため今夜の夜会には間に合わなかった。
既製品もショップには置いてあるのだが、ぴったりとしたサイズ感ではないために、どうしてもオーダーメイド物に比べると見劣りしてしまう。
私が唯一持っているオーダーメイドの高いドレスは、この前のグレンがミアに婚約を申し込んだ日に着ていたあのドレスしかない。
「ん-困ったわね。あれはさすがに」