合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
再会(四)
「皆、夏を前に集まってくれてありがとう。今年の夏はまたいつも以上の年になりそうだ。体に気をつけて過ごして欲しい」
王は王妃と寄り添いながら、にこやかな笑顔を向けた。
今王は前王の長男にあたり、とても物静かで民に優しい王だと言われている。
ただ王には子がなく、昨今、王の健康状態について議論されていると噂があるくらいだ。
あくまで噂の域だが、子がいない以上継承問題もあるため、王家は問題山積な状態だ。
「では、皆、楽しんでくれ」
王の挨拶が終わると、また皆が思い思いに話始める。会場の音楽が変わり、ダンスも始まった。
「では、ミア。国王様に挨拶をにしに行こう」
「はい、グレンさま」
二人の目的は王への婚約の報告だ。王への報告をすれば、もう結婚は決まったようなものである。
幸せそうにミアが頬を赤らめた。こうして私にさえちょっかいをかけなければ、普通の女の子なのだろう。
前世での因果なのか、それとも瑞希個人の感情なのか……。
「ソフィア嬢、ミアと国王様へ挨拶に行ってきたら、合わせたい人がいる。それまでは、どこかで待っていて欲しい」
「はい、グレン様。承知しております」
ソフィア嬢、グレン様と、こういった場での呼び名がなんだか、くすぐったい。
「頼むから、どこかの誰かに引っかけられないでいてくれよ」
グレンが珍しく苦笑いしている。私は何を言われたのか一瞬分からず、きょとんとし、小首をかしげた。