合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
再会(六)
「このような場で、あなたのような美しい方にお会いできて光栄です」
「?」
「わたくしめにも、挨拶をさせていただけないでしょうか、美しい方」
デザートを眺めていた私は、後ろを振り返る。
数名の男性たちが、囲むように人だかりを作っていた。
どうやら皆、食べ物が取りたいわけではないようだ。
「えっと」
「ああ、お美しい方。お名前をお聞きしてもよろしいだろうか」
私の名前でいいのだろうか。
何かの間違いではないかと、回りを見渡しても、ここには女性は私しかいない。
「あの」
「ああ、そんな困った表情すら美しい」
名乗ればいいのだろうか。こんなことは初めてなので、対処の仕方が分からない。
咄嗟に扇子を広げ、愛想笑いを浮かべる。扇子もこんな使い方でいいのだろうか。
母たちのため息は、このことだったのかもしれない。
「ソフィア・ブレイアムですわ」
「あなたが、氷の美姫。誰があなたの氷を溶かしたのか、教えていただけないだろうか」
「ああ、お美しい。このような場であなたとお話できるなど、光栄です」
集まった男性たちが、口々に賛辞を述べる。
それにしても、氷を溶かしたっていうのは何だろう。