合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
婚約(四)
嬉しそうにキースは名前を呼ぶと、再び手を握ろうとする。私は持っていた扇子で、ピシャリと叩く。
「キース様、婚約者でもない女性の手をむやみに握るものではないと思いますよ」
「これは手厳しい。さすが、グレンが見込んだだけある。今日ここへ来てもらったのは、少し話をしたくてね」
「どういったことですか。私に分かる話ならよいのですが」
「なに、簡単なことだよ。最近会議に参加するメンバーは年寄りばかりでね。若い子の話を聞きたくても、俺の周りは、ほら、あれだろ」
あれと言われ、この前のカフェの様子を思い出す。
あの子たちでは、確かにまともな会話など難しそうだ。
そもそも、そんなことを期待して側に置いておいたわけではないと思うのだが、人の趣味はよく分からない。
私なら会話の通じない人間など、側にいるだけでめんどくさいと思ってしまうのに。
「確かに……」
「ソフイアは今の王都はどう思う?」
「王都ですか、活気に溢れていて、いろんなお店がありとても栄えていると思います」
「その答えでは、会議の時と同じになってしまうよ」
グレンが苦笑いをしている。そうか、そういった無難は返答ではなくてということか。
「キース様、婚約者でもない女性の手をむやみに握るものではないと思いますよ」
「これは手厳しい。さすが、グレンが見込んだだけある。今日ここへ来てもらったのは、少し話をしたくてね」
「どういったことですか。私に分かる話ならよいのですが」
「なに、簡単なことだよ。最近会議に参加するメンバーは年寄りばかりでね。若い子の話を聞きたくても、俺の周りは、ほら、あれだろ」
あれと言われ、この前のカフェの様子を思い出す。
あの子たちでは、確かにまともな会話など難しそうだ。
そもそも、そんなことを期待して側に置いておいたわけではないと思うのだが、人の趣味はよく分からない。
私なら会話の通じない人間など、側にいるだけでめんどくさいと思ってしまうのに。
「確かに……」
「ソフイアは今の王都はどう思う?」
「王都ですか、活気に溢れていて、いろんなお店がありとても栄えていると思います」
「その答えでは、会議の時と同じになってしまうよ」
グレンが苦笑いをしている。そうか、そういった無難は返答ではなくてということか。