合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
考察(四)
瑞葉と瑞希だった頃、いつも瑞希はクラスの中心にいた。
同じ顔なのに、引っ込み思案の私とは違い、よくしゃべり、よく笑い、たくさんの友達に囲まれていた。
最初こそ頑張ろうと思っても、いつも瑞希のペースに飲み込まれ、私はひとりぼっちだった。
でもそれだけなら、まだ気にすることはなかった。自分の性格が悪いと諦められたから。
現実はそうではなかった。
瑞希はいつでも、一人で可哀相な私の元に友達を連れてきた。
わざと自分と私とを比較させることで、優越感を味わうように。
だから本当は高校だって、同じところになんて行きなくなかった。
そのために受験勉強を頑張ったというのに、あっさり推薦で同じ高校へ入って来た。
その頃から、家で過ごすことも苦痛になって来た。
母は瑞希にべったりで、相変わらず父は家のことに無関心だったから。
「そう考えると、今はまだ幸せだ」
ベッドに寝転ぶ。父と母との関係は良好だし、ミアにはグレンがいる。
このまま父の言うようにミアの関心がグレンに行けばいいのに。
でも、なんとなくそうはならない気がする。私がミアに、瑞希に何をしたというんだろう。
ともあれ、キースに屋敷まで来てもらうのはまずいことには変わりない。
明日朝一番に手紙を書こう。妹が婚約式の用意で忙しいため、他の場所でお会いしたいと。
そこまで考えると、体温がゆっくりとベッドに吸い込まれるように広がっていく。
このまま寝たら、朝ルカに怒られるだろうなと思いつつも、眠気には勝てず瞼が重くなっていった。