合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
休憩(三)
まるで宝石でも眺めるように二つのプリンを見つめた後、受け取ったスプーンでプリンを食べ始める。
それを確認してから、私も食べ始めた。
やや固めの素朴なプリンだ。
よく流行っているやわらかいプリンは作り方を知らないので、私はお菓子はこれしか作れない。
家で料理を作るということがなかったので、高校の時に家庭科の授業でやったものくらいしか作れないのだ。
こんなことになるなら、もっといろいろな物の作り方を覚えておけば良かったと思う。
今になっては、ここでは食べれないものばかりだから。
「これは確かにお酒の風味が効いていて、おいしいな。初めて食べたが、これはクセになりそうだ。手間でなければまた作ってきて欲しい」
「これぐらいでよければ、また……」
「ああ、頼む。さて、小腹を満たしたことだし、街に出るとするか。お昼ご飯のお詫びもかねて」
「でも、まだ書類が残ってますよ」
私の方の簡単な書類は片付いたものの、キースの執務机の上にはまだ三分の一ほど書類が残っている。
今出かけてしまえば、その書類をキースが帰ってからやれなければならなくなってしまう。
そうなれば、仕事が終わるのは何時になることか。