廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「商業区の方は仕事がなくなって困らないのですか?」

商業区のみんなの気持ちは嬉しいけど、それで生活に支障が出るのは望ましくない。
しかし、セドリックは朗らかに笑って言った。

「平気です。アラス公爵一派の弱小貴族より、王家や商人の方が羽振りがいい。むしろ、エルハングルやソハラルージュに頼りきっていた貴族の方が困るでしょうね。面目丸潰れで」

「なるほど……」

迷惑をかけてしまったと思ったけど、結果的にはアラス公爵一派の勢いを削ぐ口実になったのかも?
まさしく怪我の功名ね!

「今回は珍しくエスカーダ公も表に出てきましたよね。いつも政治的な話には絶対関与しないのに」

「え!?ダリオン様が?」

「はい。アラス公爵が娘をゴラック男爵へ嫁がせるのを大反対した時に、エスカーダ公がそれを黙らせたんです。『私の婚約者に大ケガを負わせた責任はとってもらう。もし、反対するならば、こちらも然るべき行動をとるが?』と、一喝したそうです」

まさか……。
ダリオン様が、自ら私を「婚約者」と?
それはとても嬉しいけど、然るべき行動って……なんですか!?
大英雄にそんなこと言われたら、誰だって震え上がるわ。
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