廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「はい!それに、レスト王子だって我が子と暮らしたいでしょう?たとえそれが叶わなくても真実は伝えないと!」

言い終わり、ふんっ!と荒々しく息を吐くと、アレストはポカンとしていた。
何をそんなに一生懸命になっているんだか……と自分に呆れ返る。
実話のようでも、これは創作なのだ。
それは十分わかっているのに、なにかが私を感情的にさせる。

「そうですね。あなたがそうまで言うなら……まぁ、考えてもいいかもしれませんね」

アレストは言った。
彼は何かを吹っ切ったように晴れやかな笑顔だ。

「ではお芝居に幸せな結末が追加されるのでしょうか?」

「少し時間はかかるでしょうけど、そのうち……ね」

「約束ですよ!その時はまたルミナリエスに公演に来て下さいね!毎日見に来ますから」

私が言うと、アレストは頷く。
その真っ直ぐな瞳を見て、この約束は近いうちきっと果たされる、そう思った。
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