廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
ローリーは私の手を引いて踵を返した。
しかし、いつの間にか二人の男に背後を取られていて、退路がない。
「なっ!?」
「逃げられはせん。言っただろう?『ワシら』と。複数人いることを警戒すべきだったな」
背後から老人の不敵な声が聞こえる。
前門の虎、後門の狼。
挟撃され立ち尽くすローリーと私に、奴隷商人たちが迫る。
前にいる大柄な男と猿のように小柄な男は、湾曲した刃物を手に距離を詰めて来る。
残念ながら、刃物は芝居の小道具ではなさそうだ。
「なんのつもりですか!?こ、こんなことをして、ただではすみませんよ!」
ローリーは声を張り上げた。
でも、今日博物館は休館日。
大声を出しても、周りには誰もいない。
レグナント軍の兵士も、まだこの区域までは捜索の手を伸ばしていないようだ。
「うるせぇ黙れ!よぉ、お頭。メイドはどうする?拐うのは男のガキとこのチビだけだったろ?」
ニヤニヤしながら男の一人が言った。
老人は、どうやら奴隷商人の元締めらしい。でもそんなことより「男のガキ」という言葉のほうが気になった。
もしかしたら、セドリックがいなくなったのは、事故なんかじゃなくて奴隷商人たちの仕業かもしれない。
貴重価値のある人間を探していると言ったもの。
セドリックのような天才を見逃すはずがない。
どこを探してもいなかったのは、故意に隠されていたからでは……。
しかし、いつの間にか二人の男に背後を取られていて、退路がない。
「なっ!?」
「逃げられはせん。言っただろう?『ワシら』と。複数人いることを警戒すべきだったな」
背後から老人の不敵な声が聞こえる。
前門の虎、後門の狼。
挟撃され立ち尽くすローリーと私に、奴隷商人たちが迫る。
前にいる大柄な男と猿のように小柄な男は、湾曲した刃物を手に距離を詰めて来る。
残念ながら、刃物は芝居の小道具ではなさそうだ。
「なんのつもりですか!?こ、こんなことをして、ただではすみませんよ!」
ローリーは声を張り上げた。
でも、今日博物館は休館日。
大声を出しても、周りには誰もいない。
レグナント軍の兵士も、まだこの区域までは捜索の手を伸ばしていないようだ。
「うるせぇ黙れ!よぉ、お頭。メイドはどうする?拐うのは男のガキとこのチビだけだったろ?」
ニヤニヤしながら男の一人が言った。
老人は、どうやら奴隷商人の元締めらしい。でもそんなことより「男のガキ」という言葉のほうが気になった。
もしかしたら、セドリックがいなくなったのは、事故なんかじゃなくて奴隷商人たちの仕業かもしれない。
貴重価値のある人間を探していると言ったもの。
セドリックのような天才を見逃すはずがない。
どこを探してもいなかったのは、故意に隠されていたからでは……。