廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「驚きました。まさか、ダリオン様が来るとは……」

「ふふ。大成功だな!エスカーダ公を招いて良かった。お前のその笑顔を引き出せるのは、悔しいがダリオン・エスカーダだけだろう。以前はまぁ少し、憎くもあったがな」

「憎い?あ、そう言えばお父様。前にダリオン様にとても失礼なことを仰いましたよね」

初めて会った日、ルミナリエスの劇場で「ロリコンか?」と煽って来た件。
今思えば、あれは娘の彼氏?に対するある種の嫉妬だと理解出来る。
でも、言われた本人は、未だその意味を知らないのだけど。

「あれから、レグナントでエスカーダ公を見ていて、ルキアを任せられるのは、彼しかないと思い直したのだ。今後も、誰かが女神の力を狙って来るかもしれない。そんな時、あの大英雄なら、きっと傷一つ付けずお前を守るだろう」

「お父様……」

「さぁ、少し話して来るといい。次の行事まではまだ少しあるからな」

照れくさそうにはにかんだお父様は、眼前に跪いたダリオンを手招きした。
すると、ダリオンはさっと立ち上がり、私に手を差し出した。

「ルキア、久しぶりだな」

その手をとりつつ、込み上げてくる思いを必死で押さえ込む。

「は、はい。お久しぶりです。まさか、ここで出会えるとは思いませんでした。わざわざ来てくださり、ありがとうございます。しばらく滞在するのでしょうか?」

「ああ、その後、お前を連れて一緒に帰るようにシルヴェスター陛下に言われている」

「そ、そうなのですか!?私、全然知りませんでした」

振り返ってお父様を見ると、「どっきり大成功」とでもいわんばかりに楽しそうに肩を揺らしている。
もう、イタズラが過ぎませんか?
嬉しいけど!
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